11回目 住まいと健康

住環境の健康リスク要因 : 温熱環境・空気質・湿度管理

〖 背 景 〗

 2018年11月末にWHO(世界保健機関)が全世界に向けて住宅と健康のガイドラインを公表した。
 「住まいの状態が居住者の健康に大きな影響を与える」という事が、5項目の高いリスク要因として挙げられている。
 項目の中で、今回、日本に課題があると思われる「室内空気汚染 (空気質・湿度管理)」と「居室内の過剰な寒さや暑さ(温熱環境)」に着目し、その概要と対策を考える。

〖 健 康 リ ス ク 要 因 〗

1-1【 室内空気汚染 (空気質・湿度管理)とは 】

 空気中には目に見えない様々な汚染物質が浮遊していて、その中で私たちは呼吸している。人が1日に摂取するものの中で最も多いのが空気で、室内の空気が一番多いと言われている。人が一生の中で摂取する物質の重量比は、食べ物や飲み物が7~8%であるのに対し、室内空気は57%も占めている。
 近年、住宅の性能向上により住宅の気密性が高くなっている。気密性の向上は室温が外に漏れにくくなる半面、部屋の中で生じる空気や湿気等がたまりやすくなり、それが「室内空気汚染」となる。それを摂取する事により、人の健康に様々な影響が及んでいる。
「表-1」に室内空気汚染の種類と人体への影響を示す。

「表-1」室内空気汚染の種類と人体への影響

1-2【 室内空気汚染 (空気質・湿度管理)の対策には換気計画が大切 】

 換気設備に必要な性能は下記の6点と考える。
  1. 新鮮な空気を取り込むと同時に、外から有害な物質の侵入を阻止する
  2. 室内空気(室内の有害な物質)を排出する
  3. 気流を生み出し循環することにより、ウイルスや臭いを抑制し空気のよどみをなく
   
  4. 湿度管理が出来る(夏季の多湿抑制と冬期の過乾燥防止※1)
  5. 換気による室内の熱ロスを抑える
  6. 換気設備のメンテナンス・維持が容易にできる
  ※1 多湿はカビやダニなどの増殖を促し、喘息の増悪・上気道症状・呼吸器感染な
     どを引き起こす。
      乾燥はインフルエンザ等のウイルスを含む飛沫核の安定性が高くなり、感染力
     が高くなる(インフルエンザウイルスの活性が増加する)

2-1【 居室内の過剰な寒さや暑さ(温熱環境)とは 】

 家庭内での不慮の事故死が年々増え続け、高齢者の「ヒートショック」が原因で亡くなる事故に至っては、推定19,000人で交通事故による死亡者数よりはるかに多い。
 (図-1参照)
 要因として考えられるのが「家の寒さ」である。

                図-1 「入浴中の死亡者数と交通事故による死亡者の比較」
                *出典:厚生労働科学研究費補助金 入浴関連事故の実施把握及び
                    予防対策に関する研究
                 平成25年度 総括・分担研究報告書
                 警察庁「平成25年中の交通事故死者数について」

 「ヒートショック」とは、住宅内移動の急激な温度差によって、血圧が急激に上昇・下降したり、脈拍が早くなったりするなど体に及ぼす影響のことで、これにより心筋梗塞や脳血管障害などが発生するリスクが上昇する。
 また、寒冷な空気は免疫低下、気道感染、喘息等の閉塞性気道疾患、肺疾患のリスクもある。さらに寒さは体の動きを鈍くさせ、高齢者の転倒事故も誘発する。
 健康に関する意識の高いイギリスでは「寒い家」自体が基本的人権の侵害とされている。イギリス保健省の室温に関する指針(図-2参照)によれば、健康な温度は21℃、18℃が許容温度のライン(夜間の寝室の最低推奨室温)とされている。16℃未満からは深刻な健康リスクが現れるとされている。

「(一社)健康・省エネ住宅を推進する国民会議」様 ホームページより

 家庭内での不慮の事故死は冬に起こりやすいが、夏の暑さによる事故も年々増えている。近年の異常気象ともいえる夏の暑さは、年々「熱中症」の患者数を増加させている。
 熱中症の死亡数が多いのは、年齢では65歳以上、発生場所では住居が多い。
 上記の事故以外に、「寒い家・室内温度差が大きい家・換気が不十分な家」は、結露が発生することがよくある。特に北側の非暖房室内や床下・壁内で結露が発生することがある。結露が発生すると、じめじめして不快であるだけでなく、カビやダニの発生源となり、空気質を悪化させ不衛生な室内環境をつくり出す。また、壁内や床下の湿度によっては、木材が腐朽したり、木材害虫が発生したりと、構造体劣化の原因になり、住宅の寿命を縮めることにもなる。

2-2【 居室内の過剰な寒さや暑さ(温熱環境)対策には気密・断熱性能を
     高めることが大切 】

 住まいの気密・断熱がしっかり行われていれば、それだけで「ヒートショック」や「熱中症」等の事故は避けられるとも言える。
 気密・断熱性能を高める事は、外の冷気・熱気を家に入れず、さらに冷暖房の効率も高める。さらに、居室間の温度差(水平方向)や居室内で足元が寒く、頭部が熱い温度ムラ(垂直方向)がなくなり、冬は暖かく、夏は涼しい快適な家になる。

〖 弊社が提案する対策技術 〗


【 健康を維持するための家には適切な換気計画と気密・断熱性能を高める事が大切 】
 今回の内容から、家が人の健康に大きく影響することが理解できると思う。
家は本来、安らぎの場、体を休めるところであり、次の日の英気を養う場所であると思う。
 適切な換気計画と気密・断熱性能を高める事は、室内空気をきれいにし、部屋間の温度差を少なくし、快適な室内環境をつくる事に繋がる。その結果、季節を問わず、ストレスなく体をよく動かすことが出来、免疫も高まり、歳を重ねても元気で活動的に過ごせることができる。
 弊社が提案する技術は、換気計画と気密・断熱性を高めるのは無論の事、空調熱を躯体(基礎コンクリート)に蓄熱する省エネルギー技術「ライトドレンコロンブス」がある。
 概念図を下記に示す。

〖 新型コロナウイルス感染症対策換気 〗

 現在、専門家は窓を開放する換気方法を推奨している。
 弊社は、他社の商品であるが下記機能を付与した換気装置を推奨する。
 (弊社事務所6年間実証)
 1.室内の空気の流れを定量的に管理する
 2.外気取入れと室内空気の排出を交互に行う
 3.換気熱損失を低減する